AGA(男性型脱毛症)とは 学会ガイドラインの説明と診療の流れ、保険
AGAは「男性型脱毛症」のことです。日本皮膚科学会の「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版」は、前頭部や頭頂部の髪が細く短くなっていく現象として説明しています。診断は問診と視診が基本で、治療には学会が推奨度(AからDまでの5段階)を付けています。
この記事は、学会のガイドラインと公的資料に書かれていることだけを並べます。自分がAGAかどうか、どの治療が合うかは、医師に相談してください。
学会ガイドラインはAGAをどう説明しているか
男性型脱毛症について、ガイドライン2017年版は次の趣旨で説明しています(原文の言い回しは参考にした情報のPDFで確認できます)。
- 髪が生え変わる周期(毛周期)をくり返すうちに、髪が伸びる期間(成長期)が短くなり、休んでいる状態(休止期)の毛包が多くなることが土台にある
- 見た目としては、前頭部や頭頂部の髪が細く短くなる
- 日本人男性では20歳代後半から30歳代にかけて目立つようになり、徐々に進んで40歳代以後に完成される
- 日本人男性の発症頻度は、全年齢の平均で約30%
ガイドラインの名前に「女性型」が入っているとおり、女性の脱毛症も同じ文書で扱われています。ただし推奨度は男女で違う項目があります。たとえばフィナステリド内服とデュタステリド内服は、男性型がA、女性型がDです。
診断は問診と視診が基本
ガイドラインは、診断の方法を次のように書いています。
- 問診で、家族歴(家族に同じ症状の人がいるか)と、脱毛の経過を聞く
- 視診で、額の生え際が後退していること、前頭部と頭頂部の髪が細く短くなっていることを確認する
- 拡大鏡やダーモスコピー(皮膚を拡大して見る器具)も診断の助けになる
来院できるクリニックの中には、マイクロスコープで頭皮を見る工程を公式に載せているところがあります。オンライン診療では画面越しの確認になります。両者でできることの違いは対面とオンラインの違いにまとめています。
学会が推奨度を付けている治療
ガイドラインは、治療ごとに推奨度を付けています。次の表は、推奨度の記号と意味を並べたものです。
| 推奨度 | ガイドラインの表現 |
|---|---|
| A | 行うよう強く勧める |
| B | 行うよう勧める |
| C1 | 行ってもよい |
| C2 | 行わないほうがよい |
| D | 行うべきではない |
男性型脱毛症で推奨度Aとされているのは、フィナステリド内服、デュタステリド内服、ミノキシジル外用の3つです。ミノキシジルの内服は推奨度D(行うべきではない)です。全項目はガイドラインの推奨度一覧に載せました。
推奨度は、学会が文献をもとに付けた評価です。個人にどの程度の変化があるかを約束するものではありません。
診療の流れ(オンラインと来院)
オンライン診療と来院では、手順が少し違います。次の表は、各社の公式サイトに書かれている流れを、段階ごとに並べたものです(2026年10月7日に公式サイトで確認)。
| 段階 | オンライン診療 | 来院 |
|---|---|---|
| 予約 | Webやアプリ、LINEで予約 | 院により予約制、または予約不要 |
| 問診 | 事前にWebの問診票に入力 | 受付で問診票に記入 |
| 診察 | ビデオ通話などで医師が診察 | 医師が対面で診察。頭皮を拡大して見る検査を行う院がある |
| 検査 | 採血キットを送る院、健康診断の結果を求める院、記載がない院がある | 院内で血液検査を行う院がある |
| 薬の受け取り | 配送 | 院により異なる(クリニックフォアは、対面でも薬は郵送と記載) |
オンライン診療の一般的な手順は、次のとおりです。
- 公式サイトやアプリで診察を予約する
- 問診票に、既往歴や服用中の薬を入力する
- 本人確認書類を提示する
- 医師の診察を受ける
- 処方が決まったら決済する
- 薬が配送される
本人確認について、厚生労働省の「オンライン診療の適切な実施に関する指針」(令和8年4月改訂)は、初診では原則として顔写真付きの身分証明書で行うとしています。各段階で用意するものはオンライン診療の流れにまとめています。
血液検査の扱いは院によって違う
血液検査の要否と費用は、公式サイトの表示が院ごとに分かれています。公式サイトで確認できた例は次のとおりです(2026年10月7日に公式サイトで確認)。
- 湘南AGAクリニック:オンライン診療は初回の採血が必須で、採血キットの費用は3,870円。税込表記は未確認
- AGAヘアクリニック:一般検査は来院で3,000円、採血キットで5,000円。健康診断の結果などで代用できるとの記載。税込表記は未確認
- Dr.AGAクリニック:来院時の血圧検査と血液検査は無料との記載。オンライン診療だけの場合は受けられない旨の記載
- レバクリ、Oops HAIR、eLife:血液検査についての記載は公式サイトで確認できませんでした
各院の一覧はAGA治療の血液検査にあります。
保険は使えるか
フィナステリドの先発品の添付文書(PMDA掲載、2023年8月改訂 第4版)には、「本剤は保険給付の対象とならない(薬価基準未収載)」と書かれています。各社の公式サイトも、AGA治療を自由診療(保険が使えない診療)と案内しています。
医療費控除については、国税庁の資料でAGAを名指しした記載を確認できませんでした。確認できた範囲はAGA・ED治療と保険・医療費控除に書いています。
ガイドラインの発行年について
ガイドラインは2017年に発行されました(日本皮膚科学会雑誌 127巻13号)。学会のガイドライン一覧では、男性型脱毛症について2017年版より新しい版は掲載されていません(2026年10月7日に確認)。円形脱毛症は別のガイドライン(2024年版)があります。
2017年以降に出てきた治療や製剤は、このガイドラインには載っていません。載っていない治療について、ガイドラインを根拠に良し悪しを述べることはできません。
よくある質問
Q. AGAは何の略ですか
当サイトでは、学会ガイドラインの「男性型脱毛症」を指す言葉として使っています。ガイドラインの文書名は「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン」です。
Q. 自分がAGAかどうかは、どうすれば分かりますか
ガイドラインは、問診と視診で診断すると書いています。当サイトは診断の目安を示しません。医師の診察を受けてください。
Q. 何歳くらいから目立つと書かれていますか
ガイドラインは、日本人男性では20歳代後半から30歳代にかけて目立つようになり、40歳代以後に完成されると説明しています。発症頻度は全年齢の平均で約30%とされています。
Q. オンライン診療だけで診断から処方まで進みますか
厚生労働省の指針Q&A(Q9)は、オンライン診療だけで治療が完結するかは個別の判断で、対面との組み合わせが基本という趣旨を示しています。医師の判断で対面診療を案内される場合があります。
Q. AGAの薬に保険は使えますか
フィナステリドの先発品の添付文書には、保険給付の対象とならないと書かれています。デュタステリドの添付文書の同じ表記は、今回は確認していません。
この記事の要点
- AGAは男性型脱毛症のこと。学会ガイドライン2017年版は、前頭部や頭頂部の髪が細く短くなる現象として説明している
- 診断は問診と視診が基本で、拡大鏡やダーモスコピーが助けになるとされている
- 男性型で推奨度Aは、フィナステリド内服、デュタステリド内服、ミノキシジル外用。ミノキシジル内服はD
- 血液検査の要否と費用は院ごとに表示が違う
- フィナステリドの先発品の添付文書には、保険給付の対象とならないと書かれている