AGA・ED治療に保険は使えるか 医療費控除で確認できた公的な記載
AGA治療の薬(フィナステリド)は、添付文書に「保険給付の対象とならない」と書かれています。ED治療薬の保険適用は、厚生労働省の資料で「勃起不全による男性不妊のみ」とされています。医療費控除については、国税庁がAGAやEDを名指しした記載を、今回確認した範囲では見つけられませんでした。
この記事は、公的な資料で確認できたことと、確認できなかったことを分けて書きます。
確認できたこと、できなかったこと
次の表は、論点ごとに、公的資料で確認できた内容と出典を並べたものです。
| 論点 | 公的資料で確認できた内容 | 出典 |
|---|---|---|
| AGA治療薬と保険 | フィナステリドの先発品の添付文書に「本剤は保険給付の対象とならない(薬価基準未収載)」 | PMDA掲載の添付文書(2023年8月改訂 第4版) |
| ED治療薬と保険 | 先発品2剤(シルデナフィル製剤、タダラフィル製剤)について「保険適用の対象として想定されるのは、勃起不全による男性不妊のみ」 | 厚生労働省「令和4年度診療報酬改定の概要 不妊Ⅰ」 |
| 医療費控除の一般的な基準 | 医師による診療または治療の対価、治療または療養に必要な医薬品の購入の対価が対象 | 国税庁 タックスアンサー No.1122 |
| 医療費控除の対象外の例 | 容姿を美化し、または容ぼうを変えるなどのための費用 | 所得税基本通達73-4、質疑応答事例 |
| AGA・EDの医療費控除 | 名指しした記載は確認できませんでした | — |
AGA治療と公的医療保険
フィナステリドの先発品の添付文書には、「本剤は保険給付の対象とならない(薬価基準未収載)」と書かれています。薬価基準は、保険診療で使う薬とその価格を定めた一覧のことです。
各社の公式サイトも、AGA治療は保険が使えない自由診療だと案内しています。クリニックフォアはFAQで「保険は使えず自由診療」、湘南AGAクリニックは「AGA治療は保険適用外」、eLifeは「保険診療は非対応(自費診療のみ)」という趣旨を書いています。DMMオンラインクリニックは、自由診療のため保険証は不要としています。
デュタステリドの添付文書に同じ表記があるかは、今回は確認していません。
ED治療と公的医療保険
厚生労働省の「令和4年度診療報酬改定の概要 不妊Ⅰ」(令和4年3月4日版)は、ED治療薬の先発品2剤について、保険適用の対象として想定されるのは「勃起不全による男性不妊のみ」としています。
保険適用になる場合の詳しい要件(処方する医師、数量など)は、今回は確認していません。ED治療と保険についてはED治療と保険にも書いています。
自由診療だと何が変わるか
自由診療は、公的医療保険を使わない診療です。同じ成分でも、院によって公式表示の金額が違います。診察料、送料、血液検査の費用の扱いも院ごとに違います。
厚生労働省の「オンライン診療の適切な実施に関する指針」は、保険診療と自由診療の両方に適用されます(指針Q&AのQ1)。自由診療でも、本人確認や、チャットだけで診療を完結させないといったルールは同じです。
各社の料金はAGA治療の費用で並べています。
医療費控除の一般的な基準
医療費控除は、支払った医療費に応じて、所得税の計算で所得から差し引ける仕組みです。対象になる医療費を、国税庁のタックスアンサー No.1122(令和8年4月1日現在法令等)は次のように書いています。
- 「医師または歯科医師による診療または治療の対価(ただし、健康診断の費用や医師等に対する謝礼金などは原則として含まれません。)」
- 「治療または療養に必要な医薬品の購入の対価(風邪をひいた場合の風邪薬などの購入代金は医療費となりますが、ビタミン剤などの病気の予防や健康増進のために用いられる医薬品の購入代金は医療費となりません。)」
対象にならない費用について、次の記載があります。
- 所得税基本通達73-4:容姿を美化し、または容ぼうを変えるなどのための費用は、医療費に該当しない(要旨)
- 質疑応答事例「ホクロの除去費用」:「容姿を美化し又は容貌を変えるための費用は、疾病の治療のための費用には当たらないので、ホクロの除去費用は、医療費控除の対象とはなりません。」
次の表は、国税庁の資料に書かれている区分を並べたものです。
| 区分 | 国税庁の記載 |
|---|---|
| 対象になる | 医師による診療または治療の対価 |
| 対象になる | 治療または療養に必要な医薬品の購入の対価 |
| 対象にならない | 健康診断の費用(原則) |
| 対象にならない | 病気の予防や健康増進のために用いられる医薬品の購入代金 |
| 対象にならない | 容姿を美化し、または容ぼうを変えるなどのための費用 |
AGA・EDを名指しした国税庁の記載は確認できなかった
AGA治療やED治療の費用が医療費控除の対象になるかどうかを、名指しで書いた国税庁の資料は、今回確認した範囲(タックスアンサー No.1122、所得税基本通達73-4、質疑応答事例)にはありませんでした。
このため当サイトは、「AGA治療は医療費控除の対象外」「ED治療は対象になる」といった断定をしません。一般的な基準は「治療」の対価かどうかで、個別の判断は税務署が行います。
クリニック側の案内
クリニックの公式サイトには、医療費控除について書いているところがあります(2026年10月7日に公式サイトで確認)。
- 湘南AGAクリニック:料金ページに、医療費控除の適用外との注記
- AGAスマクリ:ヘルプに、医療費控除は対象外との記載
これは各院の案内で、国税庁の見解ではありません。ほかの院については、今回取得した資料の範囲では、医療費控除についての記載を確認していません。
申告で迷ったときの確認先
医療費控除の対象になるかどうかは、当サイトでは判断できません。確認の手順は次のとおりです。
- 国税庁のタックスアンサー No.1122 で、一般的な基準を読む
- 受診した医療機関に、診療の内容(何の治療として行ったか)と領収書の発行について聞く
- 判断がつかない場合は、税務署に相談する
領収書について、eLifeは個別の対応で発行できるとFAQに書いています。ほかの院の発行方法は、各院の公式サイトで確認してください。
よくある質問
Q. AGAの薬に保険は使えますか
フィナステリドの先発品の添付文書には、保険給付の対象とならないと書かれています。各社の公式サイトも自由診療と案内しています。
Q. ED治療薬に保険が使える場合はありますか
厚生労働省の資料は、保険適用の対象として想定されるのは勃起不全による男性不妊のみとしています。詳しい要件は今回確認していません。
Q. AGA治療の費用は医療費控除の対象になりますか
国税庁がAGAを名指しした記載は、今回確認した範囲にはありませんでした。当サイトは対象になるとも、ならないとも断定しません。湘南AGAクリニックとAGAスマクリは、適用外・対象外と案内しています。
Q. ED治療の費用は医療費控除の対象になりますか
AGAと同じく、国税庁が名指しした記載は確認できませんでした。個別の判断は税務署が行います。
Q. オンライン診療にも保険証は必要ですか
自由診療のオンライン診療について、DMMオンラインクリニックは保険証は不要としています。厚生労働省の指針は、初診の本人確認を原則として顔写真付きの身分証明書で行うとしています。詳しくは本人確認にまとめています。
この記事の要点
- フィナステリドの先発品の添付文書に、保険給付の対象とならないと書かれている
- ED治療薬の保険適用は、勃起不全による男性不妊のみが想定されている
- 医療費控除は「治療」の対価が対象で、容姿の美化などの費用は対象外というのが国税庁の一般的な基準
- AGA・EDを名指しした国税庁の記載は、今回確認した範囲には無い
- 個別の判断は税務署が行う