保健所の無料・匿名検査と郵送検査キットの違いを公的資料で確認できた範囲で整理
保健所では、匿名・無料で性感染症の検査を受けられます。民間の郵送検査キットは有料で、自宅で検体を採って送ります。国の指針は、検体を送って受ける検査も検査の機会の1つとして挙げています。
HIVの郵送検査については、厚生労働省の手引きに、結果だけで診断が確定することはないと書かれています。この記事は、公的資料と各社の公式サイトで2026年10月7日に確認できた範囲をまとめたものです。保健所ごとの実施内容は調べていません。
保健所の検査について厚生労働省が書いていること
厚生労働省の「性感染症」のページには、次のように書かれています。
「保健所により、匿名・無料で梅毒などの性感染症の検査を受けることができます。夜間・休日検査やレディース・デーなどが設けられているところもあります。」
この文から分かるのは次の4点です。
- 名前を出さずに受けられる
- 費用がかからない
- 夜間や休日に検査を行う保健所もある
- 「保健所により」とあり、内容は保健所ごとに違う
検査と相談の窓口を載せたサイトとして、「HIV検査・相談マップ」と「性感染症検査・相談マップ」があります。どの保健所で、どの項目を、何曜日に受けられるかは、今回の資料では確認していません。住んでいる地域の保健所か、上の2つのサイトで確認してください。
国の指針での郵送検査の扱い
性感染症の対策についての国の方針は、「性感染症に関する特定感染症予防指針」にまとめられています。平成12年の厚生省告示で、令和7年11月10日に改正されています。
この指針には、検査について次の記載があります。
- 「検体の送付による検査など、個人情報の保護に留意しつつ、様々な検査の機会を活用していくことも重要である」
- 感染が判明した場合は「確実に医療に結び付けることが必要である」
- 性的接触の相手方にも検査の受検を促す
指針は、郵送の検査を検査の機会の1つとして挙げています。あわせて、感染が分かったあとに医療につなぐことを求めています。
HIV郵送検査の手引きに書かれていること
厚生労働省の感染症対策課は、令和7年6月に「保健所等で実施するHIV郵送検査の手引き」を出しています。保健所などが郵送検査を行う場合についての文書です。民間の郵送検査についての記載も含まれています。
手引きの主な記載を並べた表です。
| 項目 | 手引きの記載 |
|---|---|
| 民間の郵送検査 | 「郵送検査は、民間の企業が独自で実施しており、その実施方法や精度は様々である」 |
| 郵送検査の位置づけ | スクリーニング検査(ふるい分けの検査)の前の検査と位置づける。スクリーニング検査に代わるものではない |
| 検出感度 | 通常の検査より「検出感度が下がる可能性がある」 |
| 診断の確定 | 郵送検査の結果のみで診断が確定することはない。スクリーニング検査が陽性なら確認検査を行い、確認検査が陽性であれば診断となる |
| 検査を行う場所 | 登録衛生検査所で実施することが望ましい |
| 試薬 | 体外診断用医薬品として承認等を受けていること |
登録衛生検査所は、検体の検査を行う施設として自治体に登録された検査所のことです。
この手引きはHIVについての文書です。クラミジア、淋菌、梅毒など、ほかの項目の郵送検査について同じ内容を書いた公的な資料は、今回確認できていません。手引きの記載を、ほかの項目にそのまま当てはめることはできません。日本性感染症学会の郵送検査についての見解も、今回は確認できませんでした。
保健所の検査と郵送検査の違い
保健所の検査と民間の郵送検査を、確認できた範囲で並べた表です。民間の欄は、当サイトが公式ページを確認した6社の内容です。
| 項目 | 保健所の検査 | 民間の郵送検査(6社) |
|---|---|---|
| 費用 | 無料 | 有料。公式表示は3,440円〜27,000円(男性が使えるキット) |
| 名前 | 匿名 | 会社による |
| 受ける場所 | 保健所 | 自宅などで採取して返送する |
| 受けられる日 | 夜間・休日検査を設けているところもある | キットが届いたあとに自分で採取する |
| 検査の項目 | 「梅毒などの性感染症」。項目は今回確認していない | 商品ごとに決まっている |
| 結果の受け取り | 今回確認していない | WEBが中心。電話、メール、郵送を選べる会社もある |
| 陽性のあと | 今回確認していない | 医療機関の紹介、またはオンライン診療の案内 |
保健所の欄で確認できたのは、厚生労働省のページに書かれている「匿名」「無料」「夜間・休日検査があるところもある」の範囲です。
郵送検査6社の費用と名前の扱い
民間の6社について、費用の目安になる1商品と、名前の扱いを並べた表です。並びは社名の読みの五十音順です。
| サービス | HIV・梅毒を調べるキットの公式表示 | 名前の扱い |
|---|---|---|
| STDチェッカー | タイプE(クラミジア・淋菌・HIV・梅毒・B型肝炎)10,430円 | 自分で決めたIDとパスワードで結果を見る匿名検査 |
| さくら検査研究所 | HIV、梅毒の単品が各3,860円 | 電話での報告は4桁の暗証番号で本人確認 |
| GME医学検査研究所 | 性病検査6項目検査キット(HIV・梅毒を含む)スタンダード11,080円/ローコスト9,600円 | 局留めと営業所止めは本名が必要 |
| ふじメディカル | HIV、梅毒の単品が各3,500円(税込表記は未確認) | 匿名で受けられる |
| 予防会 | 梅毒+HIV 5,300円 | 本名は不要。自分で決めたカタカナの名前を書く |
| ルナドクター | STD CHECK Type C(梅毒・HIV)通常5,600円(割引表示4,980円、税込表記は未確認) | 匿名IDの記載は確認できず。注文時に名前・住所・電話番号を登録 |
6社の価格、送料、結果までの日数は郵送の性感染症検査キット6社の比較表に並べています。荷物の品名や差出人は検査キットの受け取り方にまとめました。
郵送検査で陽性だったとき
国の指針は、感染が分かった場合は確実に医療に結び付けることが必要としています。HIVの手引きも、郵送検査の結果だけでは診断が確定しないとしています。HIVの郵送検査で陽性や判定保留の結果が出たときは、あらためて検査と受診が必要です。受診先や治療についての判断は、医師に相談してください。
民間の6社は、陽性のときに医療機関の紹介やオンライン診療を案内しています。各社の案内は陽性だったときに並べました。
今回確認できなかったこと
公的資料で確認できなかった点は次のとおりです。記事ではこれらを書いていません。
- 保健所ごとの検査項目、実施日、予約の方法、結果が出るまでの日数
- HIV以外の項目についての、郵送検査の精度や位置づけに関する公的な記載
- 日本性感染症学会の郵送検査に関する見解
- 郵送検査の結果を医療機関がどう扱うか
当サイトは、郵送検査と保健所の検査のどちらが正確かを評価していません。
よくある質問
Q. 保健所の検査は本当に無料ですか
厚生労働省のページに、「保健所により、匿名・無料で梅毒などの性感染症の検査を受けることができます」と書かれています。「保健所により」とあるので、受けたい保健所の案内で確認してください。
Q. 保健所では名前を伝える必要がありますか
厚生労働省のページでは、匿名で受けられると書かれています。
Q. 仕事のあとや休日に受けられますか
厚生労働省のページに、夜間・休日検査を設けているところもあると書かれています。どの保健所が行っているかは、今回の資料では確認していません。
Q. 郵送検査は国に認められていない検査ですか
国の予防指針は、検体の送付による検査を、活用していく検査の機会の例として挙げています。一方でHIVの手引きは、民間の郵送検査について「実施方法や精度は様々である」としています。
Q. 郵送検査で陰性なら、保健所の検査は要りませんか
当サイトでは判断できません。HIVの手引きは、郵送検査はスクリーニング検査に代わるものではないとしています。心配なことがあれば、医療機関か保健所に相談してください。
この記事の要点
- 保健所では、匿名・無料で梅毒などの性感染症の検査を受けられる。夜間・休日検査があるところもある
- 国の予防指針は、検体を送って受ける検査を検査の機会の1つとして挙げている
- HIVの手引きは、民間の郵送検査は「実施方法や精度は様々」とし、結果のみで診断は確定しないとしている
- 民間の郵送検査は有料で、名前の扱いは会社によって違う
- 保健所ごとの項目や実施日、HIV以外の項目の公的な記載は今回確認できなかった