信頼できるオンライン診療の見分け方 指針が患者に確認を求める項目とチャット診療の扱い
見る項目は4つです。医師とリアルタイムで話す診察があるか。診察する医療機関が分かるか。使っている薬を聞かれるか。契約と解約の条件が申込み前に分かるか。いずれも、厚生労働省の指針と患者向けチェックリスト、国民生活センターの注意喚起に書かれている内容です。
厚生労働省の患者向けチェックリスト
厚生労働省は「安心・安全にオンライン診療を受けるためのチェックリスト(患者ver.)」を公開しています。受診の前に患者が確認する項目をまとめた資料です。
チェックリストの項目を、要旨で並べた表です。
| 分野 | 項目(要旨) |
|---|---|
| 診療の形 | 対面診療と組み合わせて実施される。医師の判断で対面に変更されることがある |
| 初診 | 初診は「かかりつけの医師」が原則 |
| 薬 | 初診時に処方できない薬がある。使用中の医薬品を正確に申告する |
| やりとりの方法 | 「文字、写真及び録画動画のみのやりとりは認められていません」 |
| 場所 | 診察を受ける場所は、清潔で安全で、プライバシーが保たれること |
| 記録と同席 | 無断の録音・録画・撮影はしない。第三者の同席は許可を得る |
| 通信 | チャットやファイル送付には制限がある。アプリやサービスのセキュリティを確認する |
チャットのみの診療は認められていない
指針Ⅴ1(6)②ⅱは「オンライン診療は、文字、写真及び録画動画のみのやりとりで完結してはならない」と定めています。指針Q&A(令和8年4月改訂)のQ24も「チャットなどのみによる診療は認められません」としています。
チャットの利用そのものが禁じられているわけではありません。指針は、チャット機能を補助的に使えるとしています。その場合は、伝える事項と範囲をあらかじめ決めておくことを求めています。Q&AのQ7も、診療前相談に先立ってメールやチャットで情報を集めることは差し支えないとしています。
確認する点は、医師とリアルタイムで話す場面があるかどうかです。問診票の入力とメッセージの往復だけで薬が発送される形は、指針が認めていません。各社の診察手段は診察の方法の各社比較で並べています。
診察する医療機関と医師が分かるか
指針は、医師が「医療機関に所属し、その所属及び当該医療機関の問い合わせ先を明らかにしていること」を求めています(指針Ⅴ2(1)②)。医師は顔写真付きの身分証明書で氏名を示すことも求められています(指針Ⅴ1(4)②ⅲ)。
オンライン診療には、運営会社と診療する医療機関が別になっているサービスがあります。運営会社がシステムを提供し、提携先の医療機関が診察する形です。運営者と医療機関の公式表示を並べた表です(2026年10月7日に公式サイトで確認、五十音順)。
| サービス | 運営者の表示 | 診療する医療機関の表示 |
|---|---|---|
| eLife | elife株式会社 | ウェルネスプラスクリニック(東京都品川区) |
| AGAスマクリ | 医療法人社団ウェルパートナー | みんなのスマートクリニック |
| Oops HAIR/Oops LOVE | 株式会社SQUIZ | 医療法人社団TMC 東京メモリアルクリニック |
| クリニックフォア | 医療法人社団エムズ | 同左(対面の院あり) |
| DMMオンラインクリニック | 合同会社DMM.com | 医療法人社団DMH(DMH新橋クリニック、DMH大阪クリニック) |
| レバクリ | レバレジーズ株式会社 | 「診察は提携先医療機関で実施」。医療機関の名称は公式ページでは確認できず |
国民生活センターは2023年12月20日の発表で、オンライン診療のトラブルの問題点として「運営事業者と医師の責任の所在がわかりにくい」ことを挙げています。申込み前に、特定商取引法に基づく表記や運営者情報のページで、医療機関の名称と問い合わせ先を確認してください。
使っている薬と持病を聞かれるか
指針は、禁忌(その薬を使ってはいけない条件)の確認に十分な情報がないまま、オンライン診療だけでED治療薬などを処方することを不適切な例に挙げています(指針Ⅴ1(5)④ⅱ)。Q&AのQ18も、禁忌の確認なしに処方することはできないとしています。
問診で既往歴や使っている薬を聞かれるのは、この確認のためです。聞かれた内容には正確に答えてください。診察の結果、医師の判断で処方されない場合があります。処方されないこと自体は、指針に沿った対応です。初診の処方制限は初診からオンラインで受けられる条件にまとめました。
契約と解約の条件が申込み前に分かるか
国民生活センターは、2023年12月20日と2026年6月23日の2回、オンライン診療の定期購入トラブルについて注意を呼びかけています。2026年の発表には、AGAのオンライン診療で、申し込んだ覚えのない定期購入になり1年分の薬が届いたという相談事例が載っています。
2026年の発表にある助言は次の4つです。
- オンライン診療を受診するときは、処方薬も含めて医師からしっかり説明を受ける。
- 糖尿病治療薬や肥満症治療薬は、痩身目的の使用について安全性と有効性が確認されていない。
- 契約内容や解約条件等についてよく確認する。
- 少しでも不安に思ったら、早めに消費生活センター等に相談する。
申込み前に見る項目は、単発か定期か、何か月分か、総額、解約の締切と手段です。各社の解約の締切はAGA定期便の解約の締切と手段、トラブルの内容は定期購入トラブルの記事に書きました。
広告の表現を見る
医療の広告にはルールがあります。厚生労働省の医療広告等ガイドラインは、治療の内容や効果に関する体験談、誤認させるおそれのある治療前後の写真、他院より優れているとする表現を禁じています。順位を付けて特定の医療機関を強調するサイトも、比較優良広告に当たる可能性があるとされています(Q&AのQ2-10)。
厚生労働省のネットパトロール事業は、能動監視の重点分野に「オンライン診療」を挙げています。広告ルールの内容は医療の広告ルールと当サイトの書き方にまとめました。
当サイトは指針への適合を判定していない
当サイトは、個別のサービスが指針に適合しているか、違反しているかを判定していません。指針とQ&Aは、個別の事業者の適否を示していないためです。当サイトの比較記事は、各社の公式サイトに書かれている事実を同じ項目で並べたものです。
よくある質問
Q. 電話だけの診察は認められていますか
指針が認めていないのは、文字、写真、録画動画だけで完結する診療です。Q&AのQ7は、診療前相談を「映像を用いたリアルタイムのやりとり」で行うよう求めています。電話診療の個別の適否について、当サイトは判定していません。
Q. 自由診療にも指針は適用されますか
適用されます。Q&AのQ1に、保険診療と自由診療の両方に適用される旨が書かれています。
Q. 医師のなりすましがあった場合はどうなりますか
Q&AのQ17によると、報告の徴収、立入検査、指導、是正命令の対象になります。従わない場合は業務停止命令、開設許可の取消しや閉鎖命令が可能です。悪質な例は、告発を念頭に警察と連携するとされています。
Q. トラブルになったときの相談先はどこですか
国民生活センターは、消費生活センター等への相談をすすめています。2026年1月の発表では、消費者ホットライン「188」が案内されています。
Q. 診察の様子を録音してもよいですか
チェックリストは、無断の録音、録画、撮影をしないよう求めています。記録したい場合は、医師の許可を得てください。
この記事の要点
- 文字、写真、録画動画だけで完結する診療は、指針で認められていない(指針Ⅴ1(6)②ⅱ、Q&A Q24)。
- 医師は所属する医療機関と問い合わせ先を明らかにすることが求められている。運営会社と医療機関が別のサービスでは、医療機関の名称を確認する。
- 使っている薬と持病の確認は、禁忌を確かめるために必要とされている。
- 国民生活センターは、契約内容と解約条件を申込み前に確認するよう助言している。
- 当サイトは、個別のサービスが指針に適合しているかを判定していない。
参考にした情報
- 安心・安全にオンライン診療を受けるためのチェックリスト 患者ver.(厚生労働省)
- オンライン診療の適切な実施に関する指針(厚生労働省、令和8年4月改訂)
- オンライン診療の適切な実施に関する指針に関するQ&A(厚生労働省、令和8年4月改訂)
- 国民患者向けリーフレット(厚生労働省)
- 国民生活センター 2026年6月23日発表 オンライン診療のトラブル
- 国民生活センター 2023年12月20日発表 痩身目的等のオンライン診療トラブル
- 医療広告等ガイドラインに関するQ&A(厚生労働省、令和8年3月改定)
- ネットパトロール事業について 令和7年度(厚生労働省)
- DMMオンラインクリニック 特定商取引法に基づく表記
- Oops HAIR 特定商取引法に基づく表記
- eLife 運営者情報