偽造ED薬と個人輸入、製薬4社の2016年公表の調査と厚生労働省の注意喚起
製薬4社が2016年11月に公表した調査では、個人輸入代行サイトから買ったED治療薬70点のうち28点(40.0%)が偽造品でした。これは2016年3月から8月に行われた調査の結果で、現在の割合を示す数字ではありません。これより新しい合同調査の公表は、当サイトでは確認できていません。
厚生労働省は、個人輸入された医薬品は国内の法律に基づく品質・有効性・安全性の確認がされていないと注意を呼びかけています。個人輸入した薬による健康被害は、医薬品副作用被害救済制度の対象になりません。
製薬4社の合同調査の内容
調査の概要を並べた表です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | 偽造ED治療薬4社合同調査 |
| 公表日 | 2016年11月24日 |
| 実施した会社 | ファイザー、バイエル薬品、日本新薬、日本イーライリリー |
| 調査期間 | 2016年3月〜8月 |
| 方法 | 日本とタイの調査会社が、個人輸入代行サイトからED治療薬を購入。真贋の鑑定と成分分析を実施 |
| 対象の数 | 70点(日本からの発注45点、タイからの発注25点) |
調査の結果
発注した国ごとの結果を並べた表です。
| 発注元 | 購入した数 | 偽造品の数 | 割合 |
|---|---|---|---|
| 日本 | 45点 | 16点 | 35.6% |
| タイ | 25点 | 12点 | 48.0% |
| 合計 | 70点 | 28点 | 40.0% |
成分の分析では、有効成分の量が承認された用量を超えているもの、足りないもの、まったく含まれていないものがありました。
数字を読むときの注意点は3つです。
- 2016年の調査です。現在も同じ割合とは言えません
- 対象は個人輸入代行サイトで買った薬です。国内の医療機関で処方された薬や、薬局で買う薬を調べたものではありません
- 調査したのは製薬会社です。公的機関の調査ではありません
厚生労働省が挙げる個人輸入のリスク
厚生労働省は、個人輸入について次の点を挙げています。
- 「個人輸入される医薬品等の品質、有効性及び安全性については、我が国の医薬品医療機器等法に基づく確認がなされていません」
- 国によっては、医薬品の品質などについて、日本と同じレベルの確認が行われていない
- 偽造品や、不衛生な場所で製造されたものがある
- 個人輸入された医薬品については、医師、薬剤師などの専門家でも成分や作用に関する十分な情報を持っておらず、健康被害が起きたときの対応が難しい
厚生労働省が委託する「あやしいヤクブツ連絡ネット」は、健康被害の事例の一つとして、タダラフィルの先発品の偽造医薬品を挙げています。
個人輸入できる数量の範囲
自分で使う目的に限り、税関の確認だけで輸入できる数量が決まっています。厚生労働省の資料に書かれている範囲の表です。
| 区分 | 数量 |
|---|---|
| 毒薬、劇薬または処方箋薬 | 用法用量からみて1か月分以内 |
| 外用剤(毒薬、劇薬、処方箋薬を除く) | 標準サイズで1品目24個以内 |
| 上記以外の医薬品・医薬部外品 | 用法用量からみて2か月分以内 |
あわせて、次の決まりがあります。
- 輸入した医薬品を、ほかの人に売ったり譲ったりすることは認められていません
- ほかの人の分をまとめて輸入することも認められていません
- 自己判断で使うと重大な健康被害が出るおそれがある医薬品は、数量にかかわらず、医師の処方が確認できない限り個人では輸入できません
数量の範囲が決まっていることは、その薬の品質や安全性が確認されていることを意味しません。個人輸入のルールの全体は薬の個人輸入の記事にまとめています。
輸入代行サイトの扱い
厚生労働省の個人輸入に関するQ&Aは、未承認医薬品の広告や販売は違法であるとし、「こうした悪質な業者には、くれぐれもご注意ください」と書いています。4社の調査が対象にしたのも、個人輸入代行サイトで買った薬です。
救済制度の対象にならない
医薬品副作用被害救済制度は、医薬品を適正に使用したにもかかわらず起きた副作用による、入院が必要な程度の病気や障害などを救済する制度です。医薬品医療機器総合機構(PMDA)は、対象となる医薬品を「厚生労働大臣の許可を受けた医薬品」と説明しており、病院・診療所で投薬された薬と、薬局などで買った薬が対象です。
個人輸入された医薬品による健康被害がこの制度の対象にならないことは、厚生労働省のページに書かれています。
オンライン診療や薬局で受け取る薬との違い
国内でED治療薬を手に入れる経路を、確認の有無で並べます。
- オンライン診療・対面診療:医師が診察し、一緒に使えない薬がないかを確認したうえで処方する
- 薬局(要指導医薬品のタダラフィル10mg):薬剤師がチェックシートの結果を確認し、服薬指導をしたうえで販売する
- 個人輸入:医師や薬剤師による確認がない
オンライン診療で処方される薬にも、国内で承認されていない海外製の薬があります。その場合は、医療機関の公式ページに未承認であることと、救済制度の対象外であることが表示されています。区分の違いは国内承認の後発品と海外製の記事に、一緒に使えない薬はED薬と一緒に使えない薬に書きました。薬局で買う方法は市販のタダラフィルの記事にあります。
よくある質問
Q. 今も4割が偽造品ですか
分かりません。40.0%は2016年3月〜8月の調査の結果です。これより新しい合同調査の公表は、当サイトでは確認できていません。
Q. ED治療薬を個人輸入すること自体は禁止されていますか
自分で使う目的で、決められた数量の範囲であれば、税関の確認だけで輸入できると厚生労働省の資料に書かれています。処方箋薬に当たる薬は、用法用量からみて1か月分以内です。数量にかかわらず厚生労働省の確認が必要な成分のリストに、シルデナフィル、タダラフィル、バルデナフィルは載っていません。ただし、個人輸入される薬は品質・有効性・安全性の確認がされていません。
Q. 友人の分も一緒に注文してよいですか
認められていません。ほかの人の分をまとめて輸入すること、輸入した薬を譲ることは、どちらも認められていないと書かれています。
Q. 個人輸入の薬で副作用が出たら救済制度は使えますか
使えません。個人輸入された医薬品による健康被害は対象外です。
Q. 偽造品かどうかを自分で見分けられますか
見分け方を示した公的な資料は、当サイトでは確認できていません。4社の調査は、専門の鑑定と成分分析で判定しています。
この記事の要点
- 2016年公表の製薬4社の調査では、個人輸入代行サイトで買ったED治療薬70点のうち28点(40.0%)が偽造品だった
- この数字は2016年のもので、現在の割合ではない
- 個人輸入の薬は、国内の法律に基づく品質・有効性・安全性の確認がされていない
- 個人輸入の薬による健康被害は、医薬品副作用被害救済制度の対象にならない
- 輸入した薬を人に譲ること、人の分をまとめて輸入することは認められていない