ED治療薬と一緒に使えない薬、厚生労働省の指針Q&Aに書かれている範囲
厚生労働省は、オンライン診療の指針のQ&Aで、ED治療の第一選択であるPDE5阻害薬は「硝酸薬や一酸化窒素(NO)供与薬との併用が禁忌」とされていると書いています。禁忌とは、使ってはいけない組み合わせのことです。この確認をせずにED治療薬を処方することはできない、とも書かれています。
この記事は、公的な資料と添付文書に書かれている範囲だけを並べます。自分が飲んでよいかどうかは、この記事では判断できません。服用中の薬をすべて医師に伝えて、医師の判断を受けてください。
厚生労働省の指針Q&Aの記載
「オンライン診療の適切な実施に関する指針」に関するQ&A(令和8年4月改訂)のQ18には、次のように書かれています。
「例えば勃起不全薬に関しては、男性性機能障害診療ガイドライン(令和7年9月発刊)において、ED治療の第一選択であるPDE5阻害薬は、硝酸薬や一酸化窒素(NO)供与薬との併用が禁忌とされており、このような禁忌事項の確認なしに処方することはできませんが、本指針や同ガイドライン等に準拠したオンライン診療による問診で禁忌の確認を行うことを妨げるものではありません」
この記載から読み取れるのは3点です。
- PDE5阻害薬(ED治療の第一選択とされている種類の薬)は、硝酸薬、NO供与薬と一緒に使えない
- 禁忌の確認をせずに処方することはできない
- オンライン診療の問診で禁忌を確認すること自体は認められている
指針の本文も、不適切な例として「勃起不全治療薬等の医薬品を、禁忌の確認を行うのに十分な情報が得られていないにもかかわらず、オンライン診療のみで処方する例」を挙げています。
資料ごとに書かれている薬
一緒に使えない薬として各資料に書かれているものを並べた表です。資料によって対象の薬と書き方が違うので、資料名と対象を列に分けました。
| 資料 | 対象 | 一緒に使えないと書かれている薬 |
|---|---|---|
| 厚生労働省 指針Q&A(Q18) | PDE5阻害薬全体 | 硝酸薬、一酸化窒素(NO)供与薬 |
| PMDA 患者向医薬品ガイド(2021年8月更新) | 医療用のタダラフィル錠(5mg・10mg・20mg) | 硝酸剤(ニトログリセリン、亜硝酸アミル等)、リオシグアト |
| 市販のタダラフィル10mg(要指導医薬品)の添付文書と製造販売元のFAQ | 市販のタダラフィル10mg | 硝酸剤等(ニトログリセリン、ニコランジル等)、リオシグアト、ケトコナゾール、イトラコナゾール、クラリスロマイシン |
硝酸剤について、製造販売元のFAQは「狭心症等の心臓病によく使用される」薬と説明しています。
この表は、取得できた資料に書かれている範囲です。一緒に使えない薬の全部を載せた一覧ではありません。シルデナフィルやバルデナフィルの添付文書は今回確認していないので、成分ごとの違いはこの記事では書けません。
薬だけでなく、体の状態も確認される
添付文書は、併用する薬のほかに、服用できない体の状態も挙げています。市販のタダラフィル10mgの添付文書の「してはいけないこと」に書かれている項目です。
- この薬または成分でアレルギーを起こしたことがある人
- 性行為が不適当な心血管障害のある人
- 不安定狭心症のある人、性行為中に狭心症を起こしたことがある人
- 脈拍の異常、低血圧、高血圧のある人
- 3か月以内に心筋梗塞を起こした人
- 6か月以内に脳梗塞・脳出血を起こした人
- 肝臓・腎臓の異常を指摘された人
- 網膜色素変性症の人
これは市販薬の添付文書の記載です。医療機関で処方される薬の基準と同じとは限りません。当てはまる項目がある場合、処方できるかどうかは医師が判断します。市販薬の購入条件は市販のタダラフィルの記事にあります。
オンライン診療の初診で処方に制限がかかる場合
指針は、初診のオンライン診療で処方できないものを定めています。指針の該当箇所を並べた表です。
| 初診で処方できないもの | 補足 |
|---|---|
| 麻薬及び向精神薬 | — |
| 特に安全管理が必要な薬品 | 基礎疾患等の情報が把握できていない患者の場合 |
| 8日分以上の処方 | 基礎疾患等の情報が把握できていない患者の場合。Q&Aは処方日数の上限を7日間としている |
基礎疾患とは、もともと持っている病気のことです。持病や服用中の薬を医師が把握できない場合、処方される日数が短くなることがあります。初診のルールは初診からオンラインで受けられる条件にまとめています。
診察の前に用意するもの
指針は、医師が「既往歴、服薬歴、アレルギー歴等」を把握できることを、初診からオンライン診療を行う条件の一つにしています。厚生労働省の患者向けチェックリストも、使用中の医薬品を正確に申告することを求めています。
診察の前に、次の順で用意してください。
- 今使っている薬を、名前が分かる形ですべて書き出す
- 薬の名前が分かるもの(薬の説明書きなど)を手元に置く
- これまでにかかった病気、とくに心臓、血圧、脳、肝臓、腎臓、目の病気を書き出す
- 薬でアレルギーを起こしたことがあれば書き出す
- 問診票に省かずに書き、診察でも医師に伝える
新橋ファーストクリニックは、初診の人に「健康診断の結果(1年以内)」や「使用中の薬一覧」などを用意するよう公式ページで案内しています。あしたのクリニックは「併用禁忌の薬があります。必ず事前問診で服用中の薬をお知らせください」と書いています。
文字のやりとりだけの診療は認められていない
指針は「オンライン診療は、文字、写真及び録画動画のみのやりとりで完結してはならない」と定めています。Q&AのQ24にも「チャットなどのみによる診療は認められません」とあります。問診票やチャットで情報を集めること自体は認められていますが、それだけで診療を終えることはできません。
見分け方は信頼できるオンライン診療の見分け方に書きました。各サービスの診察の手段は診察の方法の記事にあります。
個人輸入の薬では確認の機会がない
海外のサイトから個人で薬を買う場合、医師や薬剤師による禁忌の確認がありません。厚生労働省は、個人輸入された医薬品について、医師や薬剤師でも成分や作用に関する十分な情報を持っておらず、対応が難しいとしています。個人輸入された医薬品による健康被害は、医薬品副作用被害救済制度の対象にもなりません。詳しくは偽造ED薬と個人輸入の記事にあります。
よくある質問
Q. 血圧の薬を飲んでいます。ED治療薬は使えますか
この記事では判断できません。薬の名前を医師に伝えて相談してください。市販のタダラフィル10mgのチェックシートには、血圧を下げる作用のある薬との併用を確認する項目があります。
Q. 硝酸薬とはどんな薬ですか
製造販売元のFAQは、ニトログリセリン、ニコランジルなどを例に挙げ、狭心症などの心臓病によく使用される薬と説明しています。自分の薬が当てはまるかどうかは、処方した医師か薬剤師に確認してください。
Q. 問診で薬を書き忘れました
処方を受けた医療機関に連絡して、医師に伝えてください。
Q. 一緒に使えない薬の一覧はどこで見られますか
処方された薬の添付文書に書かれています。PMDAのサイトでは患者向医薬品ガイドが公開されています。今回確認できたのは、医療用タダラフィル錠のガイドです。
Q. ガイドラインには何と書かれていますか
男性性機能障害診療ガイドライン2025年版の本文は書籍で、当サイトは本文を確認できていません。確認できたのは、厚生労働省がQ&Aで引用している上の一文です。ガイドラインについてはEDの診療ガイドラインの記事にまとめています。
この記事の要点
- 厚生労働省の指針Q&Aは、PDE5阻害薬は硝酸薬・NO供与薬との併用が禁忌と書いている
- 禁忌の確認なしにED治療薬を処方することはできない
- 資料によっては、リオシグアト、ケトコナゾール、イトラコナゾール、クラリスロマイシンも挙げられている
- 服用中の薬と病歴をすべて医師に伝える
- 自分が使えるかどうかは医師が判断する