オンライン診療の定期購入トラブル 国民生活センターの注意喚起と確認項目
国民生活センターは、オンライン診療の処方薬の定期購入について、2023年12月20日と2026年6月23日に注意喚起を出しています。2026年の発表には、AGAのオンライン診療で、申し込んだ覚えのない定期購入になっていたという相談が載っています。助言の中心は、「契約内容や解約条件等についてよく確認しましょう」です。
この記事は、2つの発表の内容と、契約前に見る項目を並べたものです。発表は特定の事業者を名指ししたものではなく、当サイトも特定の事業者とトラブルを結びつけません。
2つの発表の概要
次の表は、国民生活センターの2つの発表を、同じ項目で並べたものです。
| 項目 | 2023年12月20日の発表 | 2026年6月23日の発表 |
|---|---|---|
| 題名 | 痩身目的等のオンライン診療トラブル | ニキビ、AGA治療や痩身目的等のオンライン診療のトラブルにご注意 |
| 副題 | ダイエット目的で数か月分の糖尿病治療薬が処方される「定期購入トラブル」が目立ちます | 処方薬の定期購入にかかるトラブルが目立ちます |
| 相談件数 | 2021年度49件、2022年度205件、2023年度169件(2023年10月31日までの登録分) | 公式ページでは確認できませんでした |
| 主な対象 | 痩身目的の処方薬 | ニキビ治療薬、AGA治療薬、痩身目的の注射薬 |
2026年の発表の相談件数は、HTMLページに記載がなく、添付のPDFは本文を取得できませんでした。このため、件数は書いていません。
2026年6月の発表に載っている事例
2026年の発表には、次の3つの事例が載っています。
- ニキビ治療薬:1年分で約6万円。手配済みとしてキャンセルできないと言われた(2025年9月受付、20歳代女性)
- 痩身目的の注射薬:意図しないまま定期購入になっていた(2025年5月受付、20歳代女性)
- AGA治療薬:下に書きます(2025年6月受付、40歳代男性)
AGAの事例は、次の内容です。
「1年前、スマートフォンでAGAのオンライン診療を受け、1年分の治療薬の処方をサイトの画面上で選択し、代金約7万円はクレジットカードで支払った」ところ、申し込んだ覚えのない定期購入になっており、1年分が届いた、というものです。
2023年12月の発表に載っている数字と問題点
2023年の発表は、痩身目的のオンライン診療についてのものです。相談の傾向として、次の数字が載っています。
- 契約当事者:男性23.5%、女性76.5%
- 平均年齢:43.3歳
- 平均契約購入金額:約12万円
問題点として、国民生活センターは次の3つを挙げています。
- 「処方薬、副作用の説明や基礎疾患の問診が不十分」
- 「消費者側からみると定期購入と同様の仕組みだが、特定商取引法に基づく取消しや解約が難しい場合がある」
- 「運営事業者と医師の責任の所在がわかりにくい」
この発表の内容は、消費者庁、内閣府消費者委員会、厚生労働省、日本医師会などに情報提供されています。
国民生活センターの助言
2026年の発表の助言は、次の4つです。
- 「オンライン診療を受診するときは、処方薬も含めて医師からしっかり説明を受けましょう」
- 「糖尿病治療薬や肥満症治療薬は痩身目的の使用に関して安全性と有効性は確認されていません」
- 「契約内容や解約条件等についてよく確認しましょう」
- 「少しでも不安に思ったら、早めに消費生活センター等に相談!」
2つ目は痩身目的の薬についての記載で、AGAの薬についての記載ではありません。
通信販売の最終確認画面に表示が求められる事項
消費者庁は、「通信販売の申込み段階における表示についてのガイドライン」(令和4年2月9日公表、改正特定商取引法は令和4年6月1日施行)で、申込みの最終確認画面に表示する事項を定めています。
次の表は、6つの表示事項と、定期購入の場合に求められる内容を並べたものです。
| 表示事項 | 定期購入の場合に求められる内容 |
|---|---|
| 分量 | 各回の数量に加えて、引渡しの回数も表示する。無期限の場合はその旨 |
| 販売価格・対価 | 各回の代金と、支払う代金の総額。初回と2回目以降で代金が違う場合は、2回目以降の代金も明確に表示 |
| 支払の時期及び方法 | — |
| 引渡時期・提供時期 | — |
| 申込みの期間に関する定め | — |
| 申込みの撤回又は解除に関する事項 | 解約の申出に期限がある場合はその期限。違約金など不利益が生じる場合はその旨と内容 |
ガイドラインは、実際には解約に条件が付いているのに「いつでも解約可能」と強調する表示は、「人を誤認させるような表示」に当たるおそれがあるとしています。違反する表示で誤認して申し込んだ場合は、取り消せるとされています(特定商取引法 第15条の4)。
オンライン診療の定期配送にこのルールが当てはまるか
オンライン診療の処方薬の定期配送が、特定商取引法の通信販売に当たるかどうかを直接述べた消費者庁の資料は、今回確認できませんでした。
国民生活センターは、2023年の発表で「特定商取引法に基づく取消しや解約が難しい場合がある」としています。このため当サイトは、「オンライン診療の定期配送には通信販売のルールが適用される」とは書きません。上の表は、通信販売一般のルールとして載せています。契約の画面で何を見ればよいかの手がかりとして読んでください。
各社の解約の締切
定期配送を止めるには、次回の発送や決済の前に手続きが要ります。次の表は、オンライン診療5社の解約の締切と手段を、公式サイトの記載で五十音順に並べたものです(2026年10月7日に公式サイトで確認)。
| サービス | 解約の締切 | 手段 |
|---|---|---|
| eLife | 次回決済・発送日の2日前まで | 公式内で表記が分かれています(特商法の表示:お問い合わせフォーム/利用規約と商品ページ:マイページ/FAQ:お問い合わせまたはLINE) |
| AGAスマクリ | 公式内で表記が分かれています(お支払いページ:次回決済日の5日前までに連絡/ヘルプ:発送予定日の2日前を過ぎると変更やキャンセルができない場合がある) | マイページ |
| クリニックフォア | 発送予定日の前日まで | マイページの定期配送管理 |
| DMMオンラインクリニック | 出荷予定日の2営業日前まで | マイページ |
| レバクリ | 次回発送予定日の前日まで | マイページ |
決済が済んだ分は、変更やキャンセルができないと各社が書いています。全社の一覧はAGA定期便の解約にあります。
契約前に見る項目
国民生活センターの助言と、消費者庁のガイドラインの表示事項から、申し込みの画面で見る項目を並べます。
- 1回だけの購入か、定期購入か
- 1回に届く量と、届く回数
- 各回の代金と、支払う総額。初回と2回目以降で金額が違うか
- まとめて前払いするプランか、毎回支払うプランか
- 解約の締切(発送や決済の何日前までか)と、手続きの手段
- 途中で解約した場合に、返金があるか、違約金などがあるか
- 処方される薬の説明を、医師から受けたか
申し込みの最終画面は、画面の写真を残しておくと、後で内容を確かめられます。最低回数や一括前払いの条件は定期便の縛りに、返金の条件はAGAの全額返金保証にまとめています。
困ったときの相談先
国民生活センターは、「少しでも不安に思ったら、早めに消費生活センター等に相談!」と助言しています。消費者ホットラインの番号は188です。
薬や体調についての相談先は、処方した医師です。相談先の整理は副作用が心配なときに、オンライン診療そのものの注意点はオンライン診療でできないこと・注意点に書いています。
よくある質問
Q. AGAのオンライン診療でもトラブルの相談はありますか
2026年6月23日の発表に、AGAのオンライン診療で、申し込んだ覚えのない定期購入になっていたという相談(2025年6月受付、40歳代男性)が載っています。
Q. 相談は何件くらいありますか
2023年12月の発表(痩身目的等)では、2021年度49件、2022年度205件、2023年度169件(2023年10月31日までの登録分)です。2026年6月の発表の件数は、公式ページでは確認できませんでした。
Q. 定期購入は、クーリング・オフや取消しができますか
当サイトは断定できません。国民生活センターは、特定商取引法に基づく取消しや解約が難しい場合があるとしています。個別の契約は、消費生活センターに相談してください。
Q. 「いつでも解約可能」と書いてあれば、条件はありませんか
各社とも、解約には締切があります。レバクリは次回発送予定日の前日まで、DMMオンラインクリニックは出荷予定日の2営業日前までです。決済が済んだ分はキャンセルできないとされています。
Q. 発表は、どの事業者のことを指していますか
国民生活センターの発表は、事業者名を挙げていません。当サイトも、特定の事業者と結びつけません。
この記事の要点
- 国民生活センターは、2023年12月と2026年6月に、オンライン診療の処方薬の定期購入について注意喚起を出した
- 2026年の発表に、AGAのオンライン診療で意図しない定期購入になっていた相談が載っている
- 2023年の発表の相談件数は、2021年度49件、2022年度205件、2023年度169件(10月末まで)
- 国民生活センターは、特定商取引法に基づく取消しや解約が難しい場合があるとしている
- 契約前に、定期かどうか、総額、解約の締切と手段を確認する